サンマの一生
エサを求めて北上、そして南下
サンマは日本の沖合からアメリカ沖まで、亜熱帯から亜寒帯にかけての広範囲な北太平洋の表層域に分布する魚です。
日本の漁船が漁獲するサンマは北西太平洋群に属し、黒潮周辺の海で生まれます。成長とともに北上し、初夏にエサのプランクトンが増加して最も豊富になる親潮水域に移動し「索餌回遊」をします。
冷たい親潮の中で栄養をたっぷりととって脂肪をつけながら太り、産卵や南下回遊のためのエネルギーをたくわえます。やがて親潮の動きに沿って千島列島の沖合を南西方向に移動を始めるのが8月半ばから秋…サンマの季節到来というわけです。
南下するに従い、水温の高まりと回遊でエネルギーを消耗し、産卵準備にも入り、次第に脂肪が落ちてきます。
少産の子育てじょうず
産卵はほぼ一年中にわたって行われますがピークは秋から冬にかけてと春の2回。直径2mmほどの大きな卵を流れ藻に産みつけたり、海中に放卵したりします。サンマの卵巣には膨大な数の卵がありますが、1回の産卵数は1,000~3,000個。マサバの10~40万個、マイワシの3~10万個に比べると産卵数は少ないのですが、卵が大きくて栄養豊かなこと、生まれたときすでに親に似ていること、死亡率が少ないなどが特徴。
大衆魚の中では短命
サンマの寿命は2年くらいです。アジの4~6年、マイワシの8年、マサバの10年などに比べると短い一生と言えるでしょう。初めの1年で体長27~28cmに成長して成熟するものが現れます。あとは大きくなっても33~34cm止まりです。
光に魅せられる習性
8月、サンマ漁解禁を合図に、魚群探知機(ソナー)など最新機器を装備した漁船は魚群を求めて出漁し、数キロの範囲の群れを的確にとらえます。サンマ漁が夜行われるのは、サンマが光に集まる習性を利用して暗闇の中に集魚灯をつけ、寄り集まるサンマを一網打尽にするためです。潮境で濃密な群にあたると一晩で80トンも漁獲するといいます。
さんまをもっとおいしく!
おいしいさんまはどこで見分ける?
新鮮で脂ののったさんまは、身にパリッとした張りがあり、ずんぐりと太っています。口先が黄色いものは脂がのっている証拠です。
さんまのおいしい季節はいつ?
秋の味覚の代表とされるさんまですが、最近では冷凍技術の発達から、一年中手に入るようになりました。パッケージに「解凍」と表示してあるのは冷凍さんまを解凍したもの。旬のさんまを鮮度を保ったまま冷凍しているので、おいしさは生と同様、保証つきです。
さんまにはどんな栄養があるの?
たんぱく質 | 18.5g | 細胞やホルモンなどの材料になる3大栄養素のひとつ。 |
カリウム | 200mg | ミネラルの一種で体内のナトリウムバランスを整える。 |
カルシウム | 32mg | 骨や歯の材料になり、筋肉や神経の働きを助ける。 |
鉄 | 1.4mg | 酸素を全身の細胞に届ける働きがあるミネラルの一種。 |
ビタミンD | 19μg | カルシウムの吸収をサポートし、骨の成長に欠かせない。 |
ナイアシン | 7.0mg | ビタミンB群に属し、エネルギー代謝の補酵素になる。 |
葉酸 | 17μg | アミノ酸の代謝に関わり、造血作用があるビタミンBの一種。 |
DHA | 1700mg | 中性脂肪の低下や認知症予防効果などで注目の不飽和脂肪酸。 |
IPA | 890mg | 抗血栓作用などで注目されている不飽和脂肪酸。 |
可食部100gあたり・出典『五訂食品成分表』
さんま料理のSOS!
(Shioyaki・Oroshi・Sashimi)
塩焼き Shioyaki
1.塩は高いところからふる
塩をふるときは乾いた手で、さんまから20cmぐらいの高さからふると均一に落ちる。
2.魚焼きグリルは表を下に
コンロに付属の魚焼きグリルは上から火が当るので、盛りつけるときに表になるほうを下にして、始めは強火で焼く。
3.反対側は火を少し弱めて
ほどよく焼き目がついたら返し、中まで火を通すように焼く。何度も返すと身が崩れてうま味が逃げるので、返すのは1回だけで焼き上げる。
三枚おろし Oroshi
1.背、腹の順に切り目を入れる
頭と内臓をとったさんまの腹に包丁を入れて尾まで切り目を入れる。背側にも背骨に沿って切り目を入れる。
2.裏身を切り離す
尾のあたりを手で押さえ、もう一度背側から、今度は深く包丁を入れて裏身を切り離す。
3.表身も同様に切り離す
表側の身は背、腹の順に包丁を入れて切り目を入れ、切り離す。
4.腹骨をすきとる
腹の身がくぼんだ部分についている腹骨をすきとる。包丁を寝かせ、骨をすくうようにしてそぎ切るとよい。
刺身の基本 Sashimi
1.中骨は頭のほうへ引いて抜く
腹骨をすき取ったら、身の中央にある中骨を抜く。指の腹で身を押さえ、骨抜きを頭側の方向へ引くと抜けやすく、じょうずに抜ける。
2.薄皮をむくときは頭側から
薄皮をむくときは、頭側から尾側へと引く。最初に包丁をかるく入れてきっかけを作るとむきやすい。
3.身はひと振りで切り離す
刺身は包丁を長く使い、1度で引いて切る。身は皮側を表に向こう側が高くなるように置き、包丁の根本近くから差し入れてまっすぐに引いて切り離す。この切り方を平造りといい、刺身のもっとも基本的な切り方。